ようやく読み終わる

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

この本を1月13日から読みはじめて、昨日夜にようやく読み終わった。かれこれまる3週間…。かなりの遅読ペースであるが、さまざまなことを学ばせてもらった。
この本は、次世代のエリートコースとはこういうものだということを大胆に宣言した本なのであろう。
これまで、エリートコースに進むためには、基本的な能力もさることながら、すでに敷かれたコース上をトップを切って走れるかどうかが重要であった。そのためには、すでに敷かれたコースにすらたどり着けない(つまり、そのコースに乗るためのつてがない、自分でたどりつく力がない)ようでは話にならない世界である。
この本で紹介する「あちらがわの世界」では、さまざまな分野を極めるための情報をいくらでも自分で見つけることができ、「好き」で、面倒くさがらず努力すれば、「学習の高速道路」を疾走して、トップ集団にたどり着くことができる(もちろんそこから、一歩抜きんでるのは簡単ではないが…)。
このことは、エリートの定義の大きな転換なのではないだろうか?
つまり、これまでのエリートとは、あらかじめ先人(前の世代ののエリート)によって築きあげられたコース(たとえば、一流大学に進学し、官僚や大会社に就職し、出世する)を、着実に進むことができた者のことであった。
それが今は、「群衆の叡智」によって築きあげられたさまざまな分野の専門知識を、自分で見つけ、実践できる人がエリートなのである。
明治維新で、武士というエリートが没落し、文明感覚に鋭敏な一部の人間が国の中枢を担う明治のエリートにのし上がった構造に良く似ているように思う。
いずれにしても、これまでのエリート構造にあぐらをかいて安心しきっている人たちに、不満をもっているこれからのエリートにとっては、この上ないチャンスが広がっている。自分に自信はあるのだが、誰からも認められないと不満に思っている人はぜひこの本を読み、これからの時代における自分の鍛え方を学ぶのがよいのではないだろうか。