貧困のない世界を創る

貧困のない世界を創る

貧困のない世界を創る

この本は、新聞や雑誌で最近よく紹介されていて気になっていた。
内容は、社会的課題をビジネスとして解決しようとする活動(ソーシャルビジネス)を追求してきた著者ムハマド・ユヌスノーベル平和賞受賞者)のこれまでの事業内容と、今後のソーシャルビジネスを拡大していくことへの思いがまごころをもってつづられている。
最近、ビルゲイツマイクロソフトをやめて慈善事業を行うことが話題となっている。記憶が定かではないが、何かの記事で、記者からの「なぜもっと早い段階で慈善事業をやらなかったのか」という問いに対し、「事業でお金を稼ぐために頭を使う必要があるのと同じように、慈善事業をうまく進めるには、十分な準備と知恵が必要だ」といったたぐいのことが書かれていた。ビルゲイツの主張は、これはこれで説得力がある。
ムハマド・ユヌスは、マイクロクレジットをはじめとするさまざまなソーシャルビジネスを通して、企業として自立させながら貧しい人々を貧困から救うという、背反するようにも見えることを実現している。
私はソーシャルビジネスについて、恥ずかしながらこの本で初めて知ったが、非常に共感のできる内容であり、一サラリーマンとして、心にとどめておきたい内容だった。

ソーシャルビジネスの話からはそれるかもしれないが、この本のフランスの企業ダノンとグラミン銀行が共同でバングラデシュの貧しい人々に栄養価の高いベビーフードを提供するビジネス始めようとした時に、ダノンのアジア太平洋地域担当副社長エマニュエル・ファーベルがユヌスに聞いた以下の問いはビジネスを成功させるために常に考えておかなければならないことを指摘しており非常に参考になったので、忘れないように記述しておく。

 あなたはどのような製品を生産したいのか? 
 あなたはどんな市場の情報を持っているのか?
 バングラデシュの栄養不良についてどのような研究がおこなわれているのか?
 どのようなベビーフードがすでに市販されているのか? 
 誰が競合製品を生産し、市場に出し、一般に販売しているのか?
 」
これを自分たちのビジネスに置き換えたとき、自ずと何をすべきかが見えてくるような気がする。